嫁入り道具の桐タンスで受け継がれる「愛着」

先日、嫁入り道具にミシンや箪笥、ドレッサーを用意した時代があったと書きました。

 

今どきは無いと思っていたら…数か月後に結婚を控えている友人が、おばあちゃんの古い桐タンスを譲り受けることになったそうです。

 

桐タンスは、防湿効果や防虫効果に優れ、燃えにくいという性質もあって高級タンスとして知られています。

でも、そもそも着物を綺麗に畳んで仕舞うのに向いているタンスですから、めったに着物を着なくなった現代には、ちょっと無用の長物…?と思わなくもありません。

 

友人も初めはかなり渋ったようです。
でも、お祖母さんも終活で身辺整理がしたいようで、「老人施設に入る前に大切な桐タンスを孫に譲りたい」なんて言われたら…無下にはできませんよね。

 

その桐タンス、年代物ですからやっぱり色がだいぶ茶色くなってところどころにシミなんかもあったみたいです。「貰ってくれるなら、専門業者に頼んで新品同様にきれいにする」とまで言われたらしいです。
そこまで出来るのが高級で上質な桐タンス、ということでしょうね。

その技術、桐タンスの「洗い替え」とか「更生」と呼ばれています。
傷や割れは桐材だからこその補修のしやすさがあり、汚れも特殊な技術で洗い、新品のように白っぽい桐の美しさを再現できるようです。

桐タンスは100年使えると聞きますが、それもこの「更生」をしてくれる”職人さん”と、”使う人”がいるからこそ。人の手と愛着がタンスの寿命を延ばすのですね。

 

そう考えると、代々受け継ぐのも悪くないかも…と思えてきました。